「あの光、あの歌、あの匂い、あの魂を。」
静粛な気持ちで絵に向き合うことは、僕にとってとても心地よいものです。色彩はいつも安らかな振動の中にあって、その振れ幅の中に兆す光。その光が、どれほどかすかでも必ずそれを受け止めたいのです。けれど絵を描くことへの真摯さは、制作の過程に込めることで、表現のフィニッシュには微笑みが欲しい。完成した作品には、そんな想いを託してタイトルをつけています。
子供の頃、眠れずにぎゅっと目を閉じた時にいつも見えたあの光、切なくて涙がこぼれそうになるあの歌、大好きだった雪の匂い、そしてゆるぎなく信じるものを持つ人だけが浮かべられる笑顔とその魂。描いた絵の一つ一つに、あの光、あの歌、あの匂い、あの魂を大切に言葉に紡ぐことでタイトルになります。
そうして生まれた絵のタイトルが、僕の絵と観てくれた人たちとのかけがえのない架け橋になりますように。