色は、私の絵画にとって最も大切なものです。日常の些細な出来事や、目に入る様々な事象の中に無数に存在する色彩が、制作のインスピレーションを与えてくれ、やがて日常から私を解放 し自由にしてくれます。
水面にゆれる光、陽光に透けた花びらの奥の色、ぎゅっと強く目を閉じた時に見える色の形。そして時には、忘れていた記憶を呼び覚ましてくれるような果物の匂いや、風が運ぶ季節の香り さえもが色彩に変わりイメージとなって、私の持つ意識の外、網膜の深い奥へと連れ出してくれるのです。
豊かな色彩に満ち溢れ、ある種の光のような輝きを持った、ゼリーのように透明で、すべてが不思議にやわらかい色をしたイメージを、私は描きたいのです。