IGETA MASAOMI

ドローイング, 2002
fig.02:ドローイング, 2002

水で描く。

たゆたう水の上に色を落とす。ステイニングは絵具をキャンバスに染み込ます技法ですが、私は水と一緒に、色彩を自由に動かしていくという感触で描いています。絵具をカンバスにいかに定着させるかではなく、水の上に落とされた色彩を自分の身体を使って、時にゆったりと、時にはスピーディにカンバスの上を泳がせていくのです。それは色彩そのものが持つ生命感や躍動感を瞬間的に捉えていくようなイメージでもあります。意図と偶然が交互に重なり合う作業だといえ、この時点での制作では私の持つ独自の身体性とリズムを大切に描いています。とはいえ、水はどんどん乾燥し消えてしまうので、何度も繰り返しカンバスに水を張って色を落としては重ねて、イメージする形を少しずつはっきりさせていくのです。

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