IGETA MASAOMI

太陽の涙, 2002, 部分
fig.03:太陽の涙, 2002, 部分
モエレ沼公園ガラスのピラミッド

線を描く

線を描くこと(=ドローイング)は、私の制作において最も緊張と快感がともなう作業であり、私の絵を成立させることにおいてとても重要です。カンバスの水の上を、自由にたゆたう色彩が何度も折り重なり繰り返されることによって、私にとってあるイメージを持った形として見えてきます。その形をイメージにしたがって線で閉じ込める、まさに曖昧なうつろう光のようなものを捉える行為といえます。こうしたドローイングによって引かれてゆく線は、私の神経そのものを画面にそっと置いてゆくような感じです。この時、最も気を配っているのは、それまで自由に形を変えることにより色彩が持ち続けてきた生命感を奪い去ってしまわないように、完全には閉じ込めてしまわないようにすることです。線によってカンバス上に導き出されたこれらの形は、自由に動き成長し続ける色彩や光を線によって閉じ込めたものであり、それは静謐でありながら、生命の躍動を喚起させるような形であってほしいと考えています。

03
Page Top