私は、私以外の誰かのために絵を描くこともなければ、私以外の誰かの考えで絵を描くこともありません。けれど私の絵画は、私の中だけで完結することを望んでいるわけではありません。私の絵と対峙した人が、私の絵と出会うことでその人が持つ記憶の中の様々なイメージへと、自由にいざなってくれるものであって欲しいと思います。そして私の作品が、見た人のありふれた日常の断片の中に、かけがえのない新たな記憶として残るものであってくれればと願っています。
やわらかく、やさしく、たおやかで、生命感に溢れ、静謐で透明な佇まいと、凛とした気配を持った私自身もまだ見たことのない絵を、これから描いてみたいと考えています。